米経済と豚インフルエンザ問題


東京株式市場の前場は、ほぼ全面高の様相を見せた。ドル・円がやや円安に振れたこと、NY株が上昇したことなどが要因。NYではアナリストの予想を上回った企業決算の数が予想を下回ったものより圧倒的に多かったことから地合いが明るくなり、とりわけ金融機関の損失は最悪期を過ぎたとの投資家の見方が広がったことも相場の支援材料となった。米経済再生諮問会議議長のボルカー氏(元FRB議長)が29日テレビのインタビューで「米経済は低い水準で底入れしつつある。追加的な景気対策は必要ない」との見解を示したことも好感されたと言う。30日の東京市場の外人動向では差し引きで1000万株の大幅買い越しとなった。2営業日ぶりの米系・欧州系とも買い越し。セクター別では自動車・電機・証券・商社・銀行・化学・ゴム・陸運・機械・不動産・情報通信などが買いの主力だった。豚インフルエンザ問題はWHOがついにフェーズ5に引き上げるなど世界的な関心を呼んでいるが、日米とも株式市場の当面の判断は「景気回復」の方に軍パイを上げた格好だ。バンデミック(世界的大流行)の恐怖については今更いうまでもないが、直近ではSARS(重症急性呼吸器症候群)の例がある。これは全世界で8437人が感染、813人が死亡、感染源と見られた香港の株価は世界市場を15%下回った。しかし、「香港の患者は5月の中旬までに急速に減少していたにも拘らず、WHOによる終息宣言は7月5日であった。香港市場はそれを知らず2ヶ月間も下げを続けたのだ」(外資系アナリスト)という興味深い話もある。株価の予見力は半年から1年先といわれる。となれば、既に豚インフルエンザ問題は織り込み済みということなのかもしれない。

 明智 平蔵