需給と過剰流動性から上昇は続く

「原油価格」
ユニークな発言で知られる北畑経済産業省事務次官は6月9日の記者会見で最近の原油高騰について、「投機筋など金融関係者は巨額の利益を得ている。3週間前の会見では割り切れないといったが、今や怒りに近いものを感じる」と述べ、04年以降の原油価格を構造的ベクトル値自己回帰モデルで分析して、原油価格のファンダメンタルズ価格は50−60ドル程度で30−40ドルはプレミアムと試算している。北畑発言にとどまらず、原油高騰は今や世界的な問題で世界の政治家は国民を統治する上でガソリンや食料価格の急騰に頭を悩ませている。このため、商品市場での投機抑制に強い措置に出てくるリスクも考慮したいところだが、タイトな需給と過剰流動性を考えるといぜん原油価格の上昇は続くとの意見が支配的である。国内銀行系証券アナリストは原油価格が上昇する理由を3点挙げ、10年3月期が140ドル、11年3月期が150ドルとして、騰勢は今後も続くとしている。第1の理由は石油需要が堅調なことがある。製品価格の上昇で足元の先進国の石油市場では、買い控えや燃料転換の進捗で前年同期比−0.5%前後の減少となっているが、途上国の石油需要は経済成長で+3%程度の伸びを維持している。第2の理由は供給サイド。OPECの抑制的な供給スタンスは継続されている。足元のOPEC主要10カ国の生産量は過去最大量に達した05年下期の生産量と比較しいぜん100万B/Dほど少ない水準で推移している。この背景は産油国政府が増産による原油価格の引き下げを懸念しているためと思われる。第3の理由は国際金融情勢。07年以降の原油価格上昇はサブプライム問題の深刻化に伴う低金利政策とドル安の進行に基づくところが大きい。米欧金融機関の収益維持と景気対策として低金利政策は今後も持続されると考えられ、実質的なインフレ容認政策が続き、商品が買われやすい展開が続く。

 明智 平蔵