世界マネーの逃避地の条件定まる

米国経済に、スタグフレーションの懸念がささやかれている。不況とインフレが重なる身動きの出来ない現象のことだ。グローバル・マネーはドルの安定をベースにして地球を循環する。しかし、スタグレーションが現実のものとなれば、この基本が大きく崩れることになる。つまり、巨大マネーはベースキャンプを失い、新たなベースを見つけるか、或いはまた事態が収拾されるまでの間、どこか逃避地を探さねばならない。外資の資金運用者たちにとって、いま、その錯綜の現場に直面しているのである。我田引水では決してないが、そのマネーの逃避地は日本以外にはない。このことは、多くの外資の運用者たちもアグリーしていることなのだ。マネーの逃避地には歴史的に条件がある。その国の経済が安定し、通貨も強いこと、加えて株式市場が堅調で、エクイティファイナンスの動きが少ないこと――である。日本経済は、政局こそ安定に欠いているものの、まだ他国ほどのインフレに晒されているわけではない。しかも通貨は1ドル=100円を挟んで手堅い動きである。一方の株式市場は、世界市場の平均値を3月17日から大きくアウトパフォームし、6月9日の時点で13%も上回っているのだ。最大の問題は株式市場の中身である。欧米の市場は金融機関による資本の増強がおこなわれ、また新興国ではエクイティファイナンスが横行するなど、いずれも株式の供給がオーバーフローになっているが、日本市場だけは逆に自社株買いなどで、純供給量がマイナスとなっているのである。つまりは、受け入れ態勢は万全なのだ。このデレゲーション相場がいつ始まるか、その足音はすでに聞こえているのである。日経平均のNY市場との逆相関の動きが始まるのだ。

 明智 平蔵